飛鳥くんはクールなんかじゃない



机の上に広げていた教科書やノートを鞄にしまうと、私たちは学校を出た。





最寄り駅前に夏限定で停まっているワゴン車のアイス屋さん。


私と凛ちゃんはよく2人で何回か食べに来ていて、来年の夏も再来年の夏もここのアイスを絶対食べようと約束したほどのお気に入り。




「うーん、あたしはチョコとストロベリーのダブル!花帆は?」

「私もダブルにしよっかな〜。ストロベリーと……あっ、新作のレアチーズだって。これにする!」


2人揃ってダブルアイスを頼んで、近くのベンチに腰を下ろした。




「美味しーっ」


甘くてなめらかで、やっぱりここのアイスは最高だ。今年のうちに飛鳥くんにも食べさせてあげよう。



そう思ったところで、ハッとした。



気分転換のために凛ちゃんが連れ出してくれたというのに、ここに来ても私の頭の中は飛鳥くんじゃないか。



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