飛鳥くんはクールなんかじゃない
私の人生は、小さい頃から飛鳥くんがいて当たり前だったから。
美味しいところを見つけたら飛鳥くんと食べたいと思うし、嬉しいことがあったら飛鳥くんに聞いてほしい。
ブラコン……的なものなのかな、これは。
「あれ?ねぇ花帆。あれって渡くんたちじゃない?」
「え?」
結局どこにいても飛鳥くんのことばかり考えてしまっていたからかもしれない。
凛ちゃんが指をさしたその先には、紛れもなく、今もずっと考えていた張本人がいた。
「隣にいるのは例によって掘田くんと菊川くんね。……あれ?菊川くんと渡くんの間にもう1人いない?」
凛ちゃん、どれだけ目がいいんだ。
言う通りに飛鳥くんと菊川くんの間に注目してみるけれど、全然見えない。
そういえば凛ちゃん、コンタクトしてるって言ってたっけ。コンタクトってそんなに見えやすいのかな。