願い婚~幸せであるように~
そっと隣に寝転んで、仰向けの直立不動になった。


「和花、それじゃあ疲れるでしょ? こっち向いて」

「あ、えっ、はい」


……と、返すものの顔だけを横に向ける。が、同じくこちらに顔を向けていた幸樹さんと視線が絡み合った。彼は自分から向いてと言ったのに、咄嗟に目を逸らした。

な、なぜ?

すっぴんで見れる顔じゃないから?


「近すぎて、恥ずかしくなるね」

「はい………」


彼は照れながらも、私の方に手を出した。その手に自分の手を重ねるとぎゅっと握られる。直立不動だった体が徐々に柔らかくなっていく。

まだ緊張しているが、手から伝わる温かさに体がほぐされている感じだ。

「おやすみなさい」と目を閉じた。すぐには眠れないなと思っていたが、いつの間にか夢の中に入っていた。


(いや、引っ張らないで……やめて、やめて……)

夢の中で……誰かが私を引っ張った。怖さに体を震わせて、泣く私。暗闇の中で泣いていたが、ふっと闇が消えて、ふわっとした暖かい空気に包まれる。体の震えが止まり、自然と顔の筋肉が緩む。

なんだろう……ここはとても気持ちの良い場所だ。どこだろう……薄目を開けると白い服が目に入る。右手はその服を握っていた。
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