願い婚~幸せであるように~
幸樹さんの家族はすごい人だけど、私は違うと手を顔の前で振った。でも、幸樹さんと結婚して茅島家の一員になった私もすごい人になる?

ふと浮かんだ疑問に首を傾げていたら、体がフワッと微かに浮く感じがした。


「平原さん、降りて」

「はい。すみません」


いつの間にか十二階に到着していて、川中さんが『開』のボタンを押し、私が降りるのを待ってくれていた。

指定された会議室のドアは全開になっていて、そこには加藤さんと住宅事業部員と思われる人が数名いて、テーブル等のセッティングをしていた。

ひとりの女性が私たちに気付いて、近付いてくる。


「こんにちは。ライラインテリアです」

「はい、少々お待ちください。加藤さーん」


呼ばれた加藤さんは片手をあげて、返事をしてからこちらにやって来た。


「こんにちは。本日はよろしくお願いします」

「平原さん、こんにちは。あ、平原さんでいいんですよね?」

「はい。仕事上ではこれからも平原を名乗っていきますので」

「了解しました。この度はご結婚おめでとうございます」


「ありがとうございます」とお礼を言うと、今日の席次表を渡された。それを見て私たち三人は横並びで着席する。
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