願い婚~幸せであるように~
結婚してからまだ一週間。様々な場で結婚したことを伝えると、みんな最初はビックリして、その後『おめでとう』と祝福してくれる。
慣れない祝福の言葉にいつもはにかんでしまう。結婚を知られることはなんだか恥ずかしい。
まして今日は幸樹さんの会社に来ているから余計にだ。全開にしているドアから顔を覗かせる女性が数人いた。
ヒソヒソと話しているが、「部長の」や「結婚」というワードが耳に入る。
幸樹さんの妻である私の顔を見に来ているようだった。いたたまれない気持ちになり、プレゼンの段取りを書いたメモから目が離せない。
早く始まらないかなと時間を確認。開始五分前になっていて、他社の人も着席、カヤシマ不動産の住宅事業部の人もほぼ着席していた。
まだいない幸樹さんの席はあそこかな?と一番端の空いている席を見た。
「平原さん……」
「えっ? 課長? どうしたんですか?」
「腹が痛い……」
「ええっ、大丈夫ですか? 」
青ざめた顔の中野課長が手を震わせながら、私の腕を掴んだ。まだギリギリ始まってはいないが、今退席したら確実に始まる時に戻っては来れないだろう。
だけど、こんなに青い顔は緊急事態だ。
「トイレ行かれます?」
「うん、ごめん。行ってくる……」
慣れない祝福の言葉にいつもはにかんでしまう。結婚を知られることはなんだか恥ずかしい。
まして今日は幸樹さんの会社に来ているから余計にだ。全開にしているドアから顔を覗かせる女性が数人いた。
ヒソヒソと話しているが、「部長の」や「結婚」というワードが耳に入る。
幸樹さんの妻である私の顔を見に来ているようだった。いたたまれない気持ちになり、プレゼンの段取りを書いたメモから目が離せない。
早く始まらないかなと時間を確認。開始五分前になっていて、他社の人も着席、カヤシマ不動産の住宅事業部の人もほぼ着席していた。
まだいない幸樹さんの席はあそこかな?と一番端の空いている席を見た。
「平原さん……」
「えっ? 課長? どうしたんですか?」
「腹が痛い……」
「ええっ、大丈夫ですか? 」
青ざめた顔の中野課長が手を震わせながら、私の腕を掴んだ。まだギリギリ始まってはいないが、今退席したら確実に始まる時に戻っては来れないだろう。
だけど、こんなに青い顔は緊急事態だ。
「トイレ行かれます?」
「うん、ごめん。行ってくる……」