ママの手料理
「いやあのね、女子高校生なんて滅多に来ないから」


店内を面倒臭そうに見渡している銀河に、俺は冷静に突っ込みを入れる。


「笑美は女子だし、そういうの詳しいよね?ね?」


最後の砦である笑美に期待を込めて聞くと、


「あ、私は女子高校生の方と関わりがないので…、でもたまにテレビでファッション関係の番組を見たりしているので、少しは分かるかもしれないです」


そこそこ期待が出来そうな返答が返ってきた。


「分かった。じゃあ笑美、紫苑ちゃんに似合いそうなものと、……笑美の着たい服があったらそれも買っていいよ」


そう言って、俺が彼女の小さな手に福沢諭吉の印刷された紙切れを3枚握らせると。


「い、痛み入りますっ……!ありがとうございます……!」


いかにも召使いが使いそうな言葉を口にし、彼女は溢れんばかりの笑みを浮かべた。



「……何だお前、それがお前らの手口か」


笑美が嬉しそうに小走りで女性服売り場に駆け込んだのを見届け、銀河が苦々しい顔をしながら口を開いた。


「詐欺みたいに言うのやめてくれる?俺はいつも頑張ってる笑美にご褒美をあげたの」


ぐちゃぐちゃに棚に置かれた商品を綺麗に畳みながら、俺はため息をついて答えた。


彼は気付いているのか知らないけれど、笑美の持っている服のバリエーションは有り得ない程少ない。
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