ママの手料理
「……紫苑ちゃん、今日も皆の事知りたい?」


ようやく私の涙が乾いてきた頃、伊織は私の顔を覗き込む様にして問うた。


この10日間で何度かパパの手料理を訪れた私は、情報屋という異名も持つ彼から何回かこの家族に関する私の知らない話を教えて貰っていた。


それには、私がまた家族の事を思い出して泣かない様に、という彼なりの配慮が込められている事を私は分かっている。


そんな彼からはこれまでに、


『実はね、大也、琥珀、銀河、仁の4人は君と同じでみらい養護園出身なんだ。滞在してた時期が違くて、紫苑ちゃんの事は知らなかったみたいだけどね』


『笑美は下僕なんだ。こんな事言っても分かんないと思うけど、あの子は元々人間の扱いを受けてなかった。…それで、まあなんか色々あってあの子はこの家に来た。因みに名付け親は湊なんだよ』


『ねえ知ってる?大也って“Angel”って名前のホストクラブでバイトしてるんだ。その指名率はバイトなのにお店の中でNo.1、源氏名はそのまま大也って言うの!』


等の衝撃的な話を聞いた。


もちろんこれらの話が本当かなんて分からないし、だからと言って彼らに質問するのも気が引けるー仁さんは「僕と大也はみらい養護園に居たよ」と言っていたけれどー。


でもその話自体は興味が湧くものばかりだから、私はいつも楽しく彼の話に耳を傾けていた。
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