ママの手料理
人を愛する事や人を好きになった事自体が、素晴らしくて素敵な事なのだと。


そしてそれを本当にきちんと形にするには、まずは自分自身を愛さない事には何も始まらないのだと。


私は、大也の味方になってあげたい。


いつか、大也が私がボロボロだった時に優しい声をかけてくれたように。



「っ……ごめんね、紫苑ちゃん…っ、本当なら、…俺が紫苑ちゃんを励まさないといけないのに、…」


「えっ、何言ってるの?」


笑いながら、私は彼の大きくて小さな背中をさする。


今だけで良いから、彼の頭から私の家族の件を棚に上げて欲しい。


「自分を否定してばっかいないで、少しは自分の事を好きになりなよ」


そう言いながら、


(私も、自分1人が生き残ったって事をポジティブ?に捉えて、自分を好きにならないとなぁ。…そうしないと、家族も報われないよね…)


私も、自分の心に独りごちていた。



公園には、初めて自分の全てを吐き出せた彼の嗚咽が響いていた。
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