ママの手料理
(…!?)


「…二度と、自分の事を気持ち悪いとか家出するなんて言うんじゃねぇよこのクズ野郎。お前の家はここだ、分かるな?そんな事は死んでも考えるんじゃねえ」


(…!)


自分の愛する人に肯定の言葉を投げかけられ、こんな自分に対してそれでも家族だと言ってくれるなんて、これは予想もしていなかった展開だ。


それと同時に、今まで必死に繋ぎ止めていた何かがプチンと音を立てて崩れ落ちた。


言葉に言い表せない程の驚きと、琥珀の身体が自分に触れた事による興奮を味わった次に俺を襲ったのは、俺の目から流れ出る滝のような大雨、いや洪水と、


「…、うっ……っ、…!」


本当に感じた事の無いくらい大きな感動と喜び、そして幸せだった。







━━━━━━━━━━━━━━……………


「うわあぁぁぁんっ……、俺、俺っ…まじで琥珀の事好きになって良かったあぁああっ!」


「…全くうるせぇな、少しは静かに泣けねぇのかお前は」


「愛してるよ琥珀ううぅううっ!…っ、何かもう、これからもずっと想い続けてていいっ…!?」


「勝手にしてろ」


琥珀の部屋の目の前で、中から聞こえる2つの声をずっと聞き続けていた私ー丸谷 紫苑ーは、安堵の涙が零れないように上を向いた。


その隣では、


「なんて素敵なんでしょうか。俺も早くこんな恋がしてみたいものです」
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