ママの手料理
いつもの琥珀からは想像もつかない程の小さな声が、彼の口から発せられた、気がした。
(え、?)
聞き間違いかと思ってゆっくりと顔を上げると、その声の主は観察するかのように俺をじっと見つめながらまた口を開いた。
「…俺はお前を気持ち悪いと思った事は一度もない、むしろお前が俺の家族の一員で良かったとさえ思ってる。…申し訳ないが、俺はお前の気持ちに応えてやることは出来ない。でもな、耳かっぽじってよく聞けよ」
「え、…?」
彼の言葉を簡単に要約すると、つまり琥珀は俺と付き合えないということで。
それと同時に、彼は俺の事を、
「気持ち悪く、ない……、?」
想定外の回答を突きつけられた俺は、ぽかんと口を開けた。
今までの琥珀は、自分と価値観が合わない人に対しては『気持ち悪い』の一点張りで過ごしてきたではないか。
それなのに、俺はどうやら彼に家族の一員で良かったとまで思われているようで。
顎が外れたのかと思うくらい口を開けたまま固まった俺に、不意に琥珀が手招きをしてきた。
驚いてビクッと身体を震わせた俺は、それでも彼の行動には逆らえなくてーもちろん逆らう気もなかったー、鼻をすすってゆっくりと彼の右隣に座った。
すると、琥珀は動かないはずの右腕を左手で掴み、ゆっくりと持ち上げて俺の肩にその手を人工的に回したのだ。
(え、?)
聞き間違いかと思ってゆっくりと顔を上げると、その声の主は観察するかのように俺をじっと見つめながらまた口を開いた。
「…俺はお前を気持ち悪いと思った事は一度もない、むしろお前が俺の家族の一員で良かったとさえ思ってる。…申し訳ないが、俺はお前の気持ちに応えてやることは出来ない。でもな、耳かっぽじってよく聞けよ」
「え、…?」
彼の言葉を簡単に要約すると、つまり琥珀は俺と付き合えないということで。
それと同時に、彼は俺の事を、
「気持ち悪く、ない……、?」
想定外の回答を突きつけられた俺は、ぽかんと口を開けた。
今までの琥珀は、自分と価値観が合わない人に対しては『気持ち悪い』の一点張りで過ごしてきたではないか。
それなのに、俺はどうやら彼に家族の一員で良かったとまで思われているようで。
顎が外れたのかと思うくらい口を開けたまま固まった俺に、不意に琥珀が手招きをしてきた。
驚いてビクッと身体を震わせた俺は、それでも彼の行動には逆らえなくてーもちろん逆らう気もなかったー、鼻をすすってゆっくりと彼の右隣に座った。
すると、琥珀は動かないはずの右腕を左手で掴み、ゆっくりと持ち上げて俺の肩にその手を人工的に回したのだ。