アンバランスな苦悩
「瑛ちゃん
もうお別れだね」

「そうだな」

忘れ物がないかどうか
部屋に確認しにいった
俺のあとをついて

スミレが部屋に入ってきた

静かにドアを閉めると
スミレは俺の背中に抱きついた

「もう…
抱いてくれない?」

「昨日が最後だよ」

「そっか」

「そうだよ」

すっと
スミレの手が
俺の体から
離れていく

「先輩と仲良くな」

「う、うん」

スミレが寂しそうに
頷いた

「もう
本当にダメ?」

「駄目だよ
桜さんは
怖い人だよ

俺はみんなを
守りたい」

「瑛ちゃん
私、わたしね

瑛ちゃんが好き

ずっと好きだから」

「ああ、俺も」

俺は
スミレの額に
軽く
キスをしてから

部屋を出た
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