アンバランスな苦悩

忘れたい過去

「私の秘密
知っちゃったね

黙っててよ
瑛ちゃん」

13歳の夏
桜さんの浮気を知った
不倫というべきか

テニス部の試合が終わり
遠征先から
家に帰る最中に

男に抱きついて
ホテルから出てくる
桜さんを見た

すぐに
何をしてきたか
理解できたし

マコとスミレに
黙っているべきだと
思った

「瑛ちゃんはえらいね

私、秘密を守る男の子って
好きよ」

そう言って
俺にキスした
桜さんに驚いた

中学生の俺は
そういう経験なんかなかったし

ドキドキした

いけないことだと
わかっていても

桜さんの仕草に
行動に
目を奪われ

体は興奮した

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