アンバランスな苦悩
「俺は嘘をつく

真実は言わない」

「それで?
スーちゃんに隠し通せると
思っているわけ?」

「隠し通せなくてもいい」

桜さんが
俺以外の人に
刃物を向けなければ
それでいいんだ

それで
俺は満足する

満足しなくちゃ
いけないんだ

「はあ…
やだやだ

格好良い男が
格好つけても
つまらない

私は見たよ

今日
お母さんがスーちゃんを
睨んでいた

誰かと携帯で話をしたあと
校内に入った

休み時間になって
私は保健室に行った

部屋は真っ暗
鍵もかかってた

それが何を意味するか
マコは
理解した

瑛ちゃん
最低だよ

スーちゃんが可哀想

ううん
哀れだよ」

「スミレには言わないでくれ」

いや
言って
嫌われたほうが
いいのかもしれない

俺が
スミレを
諦められる

「言えるわけないでしょ?」

「そうだな」
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