魔法の使い方
「せっかくだからそれを着て帰るといい。着て来た服は、紙袋に入れておいた」

 ミーナがユリウスから預かった代金を払い、紙袋を受け取っていたところ。レネが店の奥から勢いよく現れた。

「ミーナ、来てたの! アデルも呼んでくれればよかったのに」

 今日のレネは白いシャツにループタイをしてその上からベストを着ており、下は膝丈のズボンを履いていて少年らしい服装だ。

「レネ! ……今日は男の子の格好なの?」

 ミーナは先日の驚愕を思い出して訊ねる。

「うん! どっちも似合うでしょ」

 確かにどちらも似合っており、違和感がなかった。

「ボクはどっちの格好も好きだよ! 男か女かはボクにとって無意味なこと。一番重要なのは、似合うかどうかだから」

 レネは言葉ひとつひとつを丁寧に、こぼさないよう紡いだ。ミーナはそんなレネを眩しく思う。自分とは違い、自信に溢れ、彼の輪郭がはっきりして見えた。
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