魔法の使い方
五章
 ミーナは自室で簡易杖を取り出す。魔法を使うことさえできれば。

 気持ちを無理矢理落ち着かせ、意識を集中させる。焦らず、ゆっくり、慎重に魔法を発動させようと瞼を閉じた。




 彼女は魔法を使うとき、いつも何かに妨害されているような感覚になる。それは大人数で道を通ろうとしたら、道が狭くなったような感覚。このせいで魔法の発動に失敗することがほとんどだ。

 狭い中を無理に広げて押し通すと魔法が強すぎたり、狙ったことがらが起きないし、術者であるミーナも一回の魔法で随分疲れてしまう。

 少しずつ通そうとしても、コントロールが上手くいかず、切れ切れになり魔法が発動しない。



 そもそもこの感覚がなぜ起こるのか、彼女は理解できていなかった。

 ――また失敗。

 気を取り直そうと冷めた紅茶のカップに手を掛ける。

「液体……?」

 狭い道を人が通るのではなく、細い管を水が流れる、というイメージではどうだろうか。ふと、そんな考えが頭をよぎった。
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