へたれライオン 卒業します
自分の席で奏多としゃべっていると
だんだん女子が群がってきた



いつもこうだ



そんな時

「尊くん、昨日公民館で
 5組の春名さんと一緒だったよね?」


思いがけないことを言われ
俺は焦ってしまった



なんとかごまかさなくては・・・



「ああ
 弟を迎えにいったら
 春名さんがいただけ」



「じゃあ、春名さんと
 付き合ってるわけじゃないよね?」



なんじゃそりゃ!

一緒にいるだけで付き合うとか思うか普通?


女子って本当にウゼー



でもここで
春名への俺の気持ちがバレたら
この女子たちは
春名に何をするかわからん



何としてでもごまかさなくては!!



「春名はないだろう

 尊は、友達多い女が好きだし

 なぁ!」


奏多が俺に
助け舟を出してくれた



感謝だぜ!奏多!!



「ああ、俺、結構面食いで
 モデルの七瀬美鈴みたいな子がタイプ」



「確かに、春名さんってボッチだし
 顔もあんまり可愛くないもんね」



なんじゃそりゃ!

お前より100万倍かわいいぞ!

春名は!


と思いながらも

春名が俺のせいで
いじめのターゲットにならないように
春名の悪口を言ってしまった自分が
なんか許せない



その時
廊下側のドアから
うつむきながら走り去る一人の女の子



あ!!

春名だ!!


今の・・・

聞かれてた・・・



今すぐ春名を追いかけて
誤解を解きたい



今のはお前を守るための嘘だって



俺はお前のことが好きなんだって



でも俺にはそんな勇気はなく
春名の辛そうな顔を何度も思いだし
自分の心を痛めることしかできなかった



そして春名は
俺とすれ違っても目を合わさず
関われない日々が一年続いた



2年になり
春名と同じクラスになった



でも
春名は俺を避け続けている



1年越しの春名への
恋心を抑え込んでおくのは
もう限界だった



だから今
俺はメガネをかけ
1年ぶりに公民館に来た



春名に会うために

春名に会って
1年前のことを謝るために
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