へたれライオン 卒業します
(花純side)

七夕会&お誕生日会当日
放課後急いで公民館に行くと

「花純ちゃんも
この短冊に願い事書いて」

心菜ちゃんがニコニコしながら渡してきた



願い事かぁ・・・

何にようかなぁ・・・



子供たちも集まり
そろそろ七夕会スタートって頃


「え?かあさん?」



「歩!!

 あ!あなたが花純ちゃん?
 いつも歩がお世話になってます」



歩くんのお母さんは
花柄ワンピースを品よく着こなし
腰までのストレートな髪をなびかせ
微笑んでいた



高杉くんや歩くんが
キレイな顔立ちなのも納得



「オレは花純に世話になってもらってないし

 てか、何しに来たんだよ」



「尊から
 お菓子作ったから持ってってって頼まれたの」



「あ~
キモい笑顔浮かべて作ってた
マカロンね」



「1人一個はあるって言ってたから」



「あ、ありがとうございます!」



高杉くんの手作りのマカロンを
食べれると思うと
つい顔がにやけてしまう



高杉くんはまだきていないが
七夕会がスタートした



「かすみちゃん
お誕生日おめでとう!!!」



「え?みんな
覚えててくれたの???」



私の誕生会も一緒にしてくれて
子供たちが歌を歌ったり
ダンスをしてくれたりした



「これ
 みんなでおこずかい出し合って買ったの
 花純ちゃんへのお誕生日プレゼント!」



「え?私に?

 開けてもいい??」



袋を開けると
白いビーズがちりばめられた
オレンジのシュシュが入っていた



「花純ちゃんっていつもポニーテールだから」



「それにね
花純ちゃんは太陽みたいに明るくて
オレンジが似合いそうだなって思ったの」



「すごーく嬉しいよ!!!

 本当にありがとう!!!」



そのあと
子供たちはグランドで走り回り
私は高杉くんのお母さんとおしゃべりをした



高杉くんは4人兄弟の一番上で
仕事で忙しい両親の代わりに
家事をやったり弟妹の面倒を見てるんだって



高杉くんの知らない一面が知れて
なんか得した気分になっちゃった



そんな時

「尊ママ~聞いて!!!」

見たことある女の子が
私たちをめがけて
とびきりの笑顔を振り撒き走ってきた



同じクラスの咲姫さんだ



「咲姫ちゃん、どうしたの?

 何かいいことあったでしょ!」



「かさすが尊ママ!
 なんでもお見通しだね!

 私ね
 尊と付き合うことになったの!!」



え?



咲姫さんと高杉くんが・・・



「咲姫ちゃんが尊の彼女になってくれたの?

 おばさんね、ずっと尊の彼女は
 咲姫ちゃんがいいって思ってたのよ」



二人は
両手を繋いでその場で跳びはねている



「あ!みー君来た! 遅いよ~」



うつむき気味に歩いてきた高杉くんに
咲姫さんは駆け寄り
高杉くんに腕を絡ませている



こうして二人を見ると
誰が見てもお似合いの
美男美女カップルだ



高杉くんに好きになってもらえるように
私が努力しなきゃって覚悟を決めたのに
この二人を見て
現実を突きつけられた



そうだったんだ!

私は親に捨てられたんだ!



こんなかわいくもない私が
誰かに愛されるわけがない!


自分とは住む世界が違うと
わかっていたはずなのに

先週公民館で高杉くんと話し
無邪気な笑顔を向けてくれたから

私も努力をすれば
高杉くんが振り向いてくれるかもと
期待してしまったんだ



私は何を
勘違いしてたんだろう・・・



「春名ごめん・・・

 ケーキ屋に行けなくなった・・・」



高杉くんに言われ
私は笑顔を見せたかった



笑顔で
『気にしなくていいよ』と
言うつもりだった



それなのに
いつの間にか私の頬に
涙がつーっとつたっていた



「帰るね」



私はその場を
逃げ去ることしかできなかった
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