へたれライオン 卒業します
(尊side)

学校へ行くと
春名の噂が聞こえてきた



「春名さん
イジメられたみたいだよ」



「転校するって
担任に連絡がきたんだって」



え???


春名が転校???



俺が動揺を隠せないでいたとき
クラスの女子2人が
険しい顔で話しかけてきた



「尊くん・・・

 話があるの・・・」



人けのない屋上階段まで来たとき
女子たちが話始めた



「私たち
 春名さんに酷いことしちゃった・・・」



「え?」



「春名さんの教科書を
 カッターで切り刻んだの・・・」



「その教科書に
 視聴覚室に来るように書いたのも
 私たちなの・・・」



お前たちが春名に
一生立ち直れないような
酷いことをいたのか!



俺が切れそうになった直前



「ごめんなさい
 怖くて逆らえなかったの

 全部
 咲姫の指示なの」



さ、咲姫・・・?



「は?
 咲姫が指示したって?

 あいつがそんなことするはずない」



「咲姫はずっと
 尊くんが好きだったんだよ

 それで春名さんに嫉妬してたから

 退学が決まった3年に
 春名さんを襲わせるように仕向けたのも
 咲姫だよ」



まさか・・・


春名を襲わせたのが
咲姫だったなんて・・・



俺はどうしても信じられなくて
生徒会長のところに走った



「そうだ!
かすみんを襲わせたのは
お前の彼女だ!」



生徒会長は
はっきりと断言した



「あいつ
 そんなことする奴じゃないし」



「お前は
 おめでたい思考回路を持ってんな

 襲った二人に俺は聞いた

 はっきり、咲姫ってこの名前を吐いたよ
 弱味を握られてたって」



「春名が襲われたのは
 俺のせいってことか・・・」



「かすみんに
 咲姫って子が仕組んだことを伝えたよ

 そしたら
 『咲姫さんを怒らせたのは私だから
 学校やみんなには黙ってて』

 『高杉くんが悲しむから』って」



「春名・・・」



「かすみん
 転校してオレと一緒に住むことになった」


「え?
 なんで、生徒会長と?」


「かすみんのお母さん
 俺の親父ともうじき再婚する

 俺はかすみんが好きだ!
 もう悲しませたくない!

 だからお前は
 もう、かすみんには近づくな」



俺は頭の中がグチャグチャで
生徒会長がいなくなった後も
そこから動けなかった

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