へたれライオン 卒業します
放課後
ドキドキしながら
そうっと理科室のドアを開けてみると……
『え??』
中にいたのは
学年一のイケメンで
いつも女子に囲まれている
同じクラスの高杉尊くんだった
1・2・3
高杉くんと目があった
驚きで
思考回路停止状態
でもそんなわけない……
高杉くんが私を好きなはずない……
だって……
「みこと~!
教科書探すっていってたけど、教室にあったよ
早く帰ろうよ」
同じクラスの美女、咲姫(さき)さんが
後ろのドアからひょこっと顔をだし
高杉くんを呼んだ
「あ!春名さんもいたんだね
尊の教科書を
一緒に探してあげてたとか?」
咲姫さんの質問に
オドオドしてしまった私。
「ううん。用があって、来ただけだよ」
「そうなんだね
尊!奏多が待ってるから早く帰るよ!
春名さんまたね」
微笑む咲さんに続くように
うつむきながら高杉くんも
教室を出ていった
はぁぁぁ~。
びっくりした!!
誰もいるはずないって思って来たのに
あの高杉くんがいたんだもん!
でも一瞬
『手紙の相手が
高杉くんだったらいいな』
そう思ってしまった
『高杉くんかぁ……』
実は私
1年前から高杉くんのことが好き
気づいたら高杉くんを目で追ったり
考えたりしてしまう
でも1年前に聞いてしまった
高杉くんは
私のこと、全く興味がないって
それに高杉くんと咲姫さんは
家が隣同士で
付き合ってるっていう噂もある
「私も咲姫みたいに可愛かったら
勇気を出して
高杉くんに告白できるのかな……」
傷つきたくなくて
恋なんてしないって
思ってはいるのに……
親に愛されなかった私を
誰かが好きになってくれるなんて
ありえないことなのに……
高杉くんへの恋心は
消せないばかりか
膨らむ一方だ