香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
腱鞘炎……かあ。
騎士だから一種の職業病だよね。
そうだ!
自分の部屋に戻って香油を取って来ると、石の上で休んでいるアレンとサイモンの元へ行った。
「サイモン、手を見せて。少し痛みが和らぐかも」
息せき切りながらそう言えば、彼は「はあ?なんでお前に?」と嫌そうな顔をする。
「まあ、騙されたと思ってクルミに見せてやれよ」
アレンがにこやかに笑ってサイモンの肩を叩くと、サイモンは渋々といった顔で私に手を差し出した。
「俺様の黄金の右腕を傷つけるなよ」
仏頂面で言われるが、気にしない。
「はい。肝に銘じます」
持って来た袋からレモンの香油とスイートアーモンドの香油を取り出して、手に垂らす。
「レモンの匂いがするな」
サイモンの横にいるアレンが私に目を向ける。
「ええ。レモンの香油は血液の流れをよくしてくれるし、痛みを鎮める効果があるんですよ」
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