香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
あまりにアレンが静かだったので寝ているかと思ったのだけど、目元の布を外して「終わりましたよ」と声をかけたら、彼がすくっと起き上がって私の手を掴んだ。
「疲れただろう。今度は俺がやろう」
優しい目で言われるが小さく首を横に振って断る。
「いえ。アレン様の方がたくさんお仕事をされてお疲れなんですから、このまま寝て下さい」
「駄目だ。これは王太子命令」
ニヤリと不敵の笑みを浮かべる彼に、頬を膨らませて不満を口にした。
「殿下ズルイです」
敬称で呼んだのは私のささやかな抵抗だ。
「必要があれば俺は権利を行使する」
俺様な口調なのに、とっても甘いその声。
王太子なのだから私を気遣ってマッサージなんてしなくてもいいのに。
こういうとこ、本当にズルイよ。
「ほら、服を脱いで横になれ。十数える間だけ目を閉じてやる。一、二、三……」
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