香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
アレンがカウントを始めるが、彼のことを考えていてボーッとしていた。
「……九、十。なんだ。まだ脱いでないじゃないか。そんなに俺に脱がされたいか?」
アレンが私に顔を近づけ、クスッと笑う。
ほおっとその笑顔に見惚れていたら、彼が唇を重ねてきた。
甘いキスーー。
だが、すぐにエマ王女の顔が浮かび、彼の胸に手を当てて止めた。
なぜ彼女がいるのに私にキスをするのだろう。
親友の妹だから義理でしているとか?
ちゃんと気持ちがこもっているような気がするのは私の勘違いだ、きっと……。
どうしよう。
胸がすごく痛い。
ずっと彼の側にいられたら……って思う。
ああ、私……アレンが好きなんだ。
一昨日会ったばかりなのに、好きになるのに時間ってあまり関係ないのかもしれない。
「クルミ?」
アレンに名前を呼ばれドキッとする。
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