香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
エマ王女の後に乗り込み、彼女の対面に座る。
侍女が最後に乗って、エマ王女の隣に座った。
「王都の外れにあなた用の馬車が用意してあるわ。それに乗ってパルクレールを出るのよ」
エマ王女の説明に頷き礼を言う。
「はい、ありがとうございます」
アレンに内緒で出ていくと思うと、辛かった。
私の表情がかたかったのか、エマ王女がフフッと笑みを浮かべて言う。
「そんな緊張しなくて大丈夫よ。私がうまく誤魔化してあげるし、成功するわ」
「ええ」
それしか言えなかった。
馬車が動き出すと、じっと城を見つめた。
みんな……ありがとう。
礼も言えずここを出て行く私を許して下さい。
私はこの世界の人間ではない。
それに、私がいなくなれば、アレンとエマ王女が幸せになれる。
溢れそうになる涙を上を向いてじっとこらえた。
段々城が小さくなっていく。
王都の街は賑やかで活気に溢れていた。
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