香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
果物屋、雑貨屋、肉屋、酒屋、仕立て屋……などいろいろあって、アレンが守ってる街なんだと思うと、胸がジーンとなる。
そんな街の中を私達の乗った馬車は止まらず走り続けた。
エマ王女が楽しげに話しかけてきたが、何も頭に入ってこず、「はい」とか「ええ」とか適当に相槌を打つ。
城を出てから三十分程経っただろうか。
街の外れに来て、もう建物はなく、目の前には草原が広がっていた。
ポツンと荷馬車が止まっていて、ぶどう酒の入った樽が積まれている。
荷馬車の側には四十代くらいの強面の男がふたり立っていた。
私達の馬車はその荷馬車の前で止まる。
エマ王女の侍女が客車のドアを開けると、立っていた男達がこちらにやってきた。
え?
私の馬車って……もしかしてこの馬車?
「積荷はそれか?」
男のひとりが私を指差し、侍女が「そうよ」と答えて男に小さな袋を渡した。
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