香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
「ここですね」
彼の反応を見ながらマッサージしていると、名前を聞かれた。
「お嬢ちゃん、貴族の娘にしては変わった特技があるな。俺はルーカス。お嬢ちゃんは名前はなんて言うんだ?」
「クルミです」
「クルミちゃんね。可愛い名前だ」
そんなやり取りをして二十分ほどマッサージを続けていると、彼のおしゃべりがなくなった。
ひょっとして寝たのかな?
そのうちスーッという規則正しい寝息が聞こえてきて、小さくガッツポーズする私。
よし、落ちた!
このまま気持ちよく眠ってもらいましょう。
服の上から足全体をマッサージし、次に頭をマッサージする。
本当は背中もやりたかったけど、起こすのが可哀想でやめておいた。
三十分ほど施術すると、ルーカスに布団をかけた。
窓の外を見れば、大きな月が浮かんでいる。
……城では私がいないって大騒ぎしているだろうな。
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