香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
身のこなしが軽く、どこにでも侵入可能。
彼に任せておけば、万が一クルミが城を出ていっても大丈夫だろう。
彼女を逃がすわけにはいかない。
外の世界は危険だし、それに何より彼女を離したくなかった。



次の日の夕方すぎ、ヴィクターと執務室で話をしていたら、鷹が部屋の窓ガラスをコンコンとくちばしで叩いた。
その鷹はロイドが飼い慣らしている鷹で、遠方に出かける時凄く役に立つ。
窓を開ければ、鷹の足に小さく丸められた紙がつけられていた。
その紙を手に取ると、鷹はまた空高く飛んでいく。
「誰から?」
ヴィクターの問いに紙を見ながら答える。
「ロイドからだ。クルミが荷馬車に乗って王都を出たらしい」
俺の言葉を聞いて彼は冷静に自分の考えを口にした。
「荷馬車?誰が手引きを?ひとりじゃそんな真似はできないと思うけど」
犯人の見当はついていた。
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