香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
「きゃあ〜!風呂場まで行けますよ」
手で胸を隠し、声をあげるクルミ。
「婚約者に甲斐甲斐しく世話をしたい気分なんだ」
クスッと笑みを零せば、彼女はギュッと目を閉じて怒った。
「遠慮します!もうこんな恥ずかしいの嫌です!」
目を閉じれば俺に見られないと思っているのだろうか?
「慣れろ。痣が治るまでは毎日入ることになる」
俺の言葉に驚いたのか、彼女はパッと目を開ける。
「も、もちろんひとりでですよね?」
つっかえながら確認するクルミに悪魔のように微笑んだ。
「もちろん俺も一緒だ。でないと本当に痣が治ったかわからないだろう?」
いやらしい気持ちがないわけでもないが、クルミの痣がちゃんと消えるか心配だった。
「じゃあ、誰か侍女に確認をしてもらいます」
彼女の主張を意地悪く笑って阻止する。
< 193 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop