香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
「侍女も姉上の世話でてんてこ舞いなんだ。エマ王女の荷物の整理もあるしな」
姉と同じようにエマ王女は大量の衣装や宝石類をこの城に持ち込んだ。
姉の指示でそれを商人に売ることになったから、仕分けが大変らしい。
売ったお金は全部修道院に寄付するとか。
今回の事件、ジーク国王がエマ王女に近づいて彼女をそそのかしたらしい。
サイモンの部下の報告によれば、彼女を地下牢に連れて行った時、エマ王女は『ジーク国王、許さない!』とわめき散らしていたそうだ。
そっと彼女を風呂に入れれば、クルミは何か思い出したように言った。
「あっ、そう言えばエマ王女見かけませんでしたけど、国に帰られたんですか?だとしたら……私をお風呂に入れている場合ではないのでは?」
クルミの発言に妙な引っかかりを覚えた。
「なぜ俺がエマ王女のことを気にしなければならないんだ?」
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