香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
俺は手を伸ばし、ネックレスを持っている彼女の手を掴んだ。
「……私、ルーカスからこのネックレスはパルクレールの王太子の物だって聞いて、初めてアレンがあの時の少年だったって知ったんです。アレンはもっと早くから気づいていたんですね」
「俺以外の者に懐かないネロがやけにクルミに構うから不思議に思ってはいたんだが、異世界で会った少女だとわかったのはこのネックレスをこの目で見た時だ」
「そうだったんですね。私……前にいた世界で死にそうになったんです。でも、目覚めたら、この世界にいて……しかも公爵令嬢になっているんだもの。現実を受け入れるのに時間がかかりました」
そう語る彼女の目は少し潤んでいる。
やはり突然この世界にやって来て、本当のことを言えず苦しかったのだろう。
「そうだろうな。俺はクルミを助けたい。俺がお前を元の世界に戻してやるから、もう城出はしないと約束してくれないか?」
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