香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
まともに恋人がいたことがない私は、その話をショックを受けながら聞いていた。
だが、森を抜けて街の灯りが見えてくると、なんだか心がホッとして眠くなる。
アレンの背中が温かいせいもあったかもしれない。
寝ちゃだめ。寝ちゃ……だ……め。
何度も自分にいい聞かせるも、段々瞼が重くなり、意識が途切れる。
「名前は?」
アレンが聞いてきたが、声も出すのも億劫だった。
「山本く……」
「ヤマモト?」
聞き返されても、もう答えられず、そのまま意識を手放した。
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