香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
「これは、パルクレールの王太子妃が持つ物です。私がつけていてはいけないし。それに、このままつけていたら、またなにかの拍子にここに戻ってきてしまうかもしれないから」
涙が出そうになって、わざと明るく笑って誤魔化した。
「わかった」
アレンはネックレスを受け取ってズボンのポケットにしまう。
すると、ノックの音がしてロイドが戻ってきた。
いつものように手桶を置いて彼は私に釘を刺す。
「いいですか?ちゃんと寝てくださいよ。顔に隈が出来た花嫁なんて見っともないですからね」
彼なりの優しさに胸がジーンとなる。
「うん、ありがとね、ロイド。おやすみ」
私がロイドに小さく手を振ると、隣にいたアレンもロイドに声をかけた。
「お前もぐっすり休めよ、ロイド」
アレンの言葉に「はい」と頷き、ロイドは部屋を退出する。
私は手桶にラベンダーの香油を数滴垂らすと、アレンに微笑んだ。
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