香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
三分くらいそのトンネルの中を走り続けていると、キラキラと何かが光っていて……。
「クルミ、あれがお前がいた世界だ。行け!」
アレンが私の肩をトンと押すと、私はその光に吸い込まれた。
「きゃっ!アレン〜、待って〜!」
不意を突かれて叫ぶが、彼の姿が遠のく。
アレンは優しい目で微笑んでいた。
「アレン〜!待って、私……ありがとうも言ってない!」
声を張り上げるが、彼の姿は私の視界から完全に消えた。
こんなあっさり別れが来るなんて……。
ショックを受けていたら、ドスンとどこかに落ちて、強く腰を打った。
「痛ったーい!」
腰を押さえながら周囲を確認すれば、それはどこかの赤ちゃんの部屋だった。
ベビーベッドにクマやウサギのぬいぐるみ、天井にはメリーが吊るしてあってとても可愛い。
「あなた誰?」
赤ちゃんを抱いた二十五歳くらいの女性が私を警戒しながら声を上げた。
< 226 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop