香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
急にわからなくなった。
「アレン……私、どうすればいい?」
ポツリと呟けば、彼女は優しく目を細めた。
「アレンってアレン王太子のことね。パルクレールに戻りなさい。あなた戻りたいんでしょう?」
「でも……もう異世界に行く扉はどこにもない」
途方にくれる私。
私が通って来たトンネルはもう消えてしまった。
何かにすがりたくてスマホを取ろうとポケットを探ったら、手には違う物体の感触が……。
これは……アレンに返したネックレス。
私が手を突っ込んだのは左ポケットだった。
アレンが私のポケットに入れたに違いない。
何かあったら戻って来いってことなの?
「それ……お城で小さい頃見たことがあるわ。王太子のネックレスね。必死に祈ってみたら戻れるんじゃないかしら。それに、私もこれをあなたに預けるわ」
彼女は自分がしていたエメラルドの宝石がついたイヤリングを外して私に手渡す。
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