香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
「じゃあ、あなたが本当のクルミさんなんですね」
私がそう確認すると、彼女はしっかりと私の目を見て頷いた。
「ええ……そうよ。どうやら……私達は入れ替わってしまったのね」
「ヴィクターお兄様はあなたのことを待っていると思います。あの……その赤ちゃんは?」
ずっと気になっていた赤ちゃんに目を向ける。
彼女の腕の中にいるその子はスヤスヤ眠っていて、私が赤ちゃんの時の顔に似ていた。
「私の子よ。私……ここで結婚して、子供もいる。パルクレールには戻れないわ。あなただって、向こうの世界で大事な人を見つけたんじゃないの。その格好」
そう言って本物のクルミさんは私のウェディングドレスを指差す。
「……そうなんですけど……ここに戻らないとって思って……」
じゃあ、私はどこに行けばいいのだろう。
彼女には家庭があって、子供もいる。
しかも、ここは未来の世界だ。
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