香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか？

背中のマッサージが終わったころ、ロイドが布を手に持って現れ、「ほら持って来たぞ」と私に声をかける。
偉そうな口調だが、ちゃんと持って来てくれたのだから礼は言おう。
「ありがとう」と笑顔で受け取り、ベッドを降りてアレンに言った。
「また仰向けになってください」
私の声に反応してアレンがゆっくりと体勢を変えると、布にラベンダーのオイルを少し垂らし、アレンの目にかぶせた。
「目が温まって気持ちがいいな」
アレンの感想を聞いて笑顔になる。
「これで目の疲れが少し取れますよ。目を酷使しても頭痛になりますからね。じゃあ、最後に足をやります」
足元に移動してアレンの足を指で揉んでいく。
こっちもカッチカチだ。
二十分くらいマッサージを施すと、彼の目元に置いた布を取って話しかけた。
「終わりました。頭痛なくなりました？」