香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
何気なくそんな話をすれば、彼女は目をキラキラさせた。
「ええ。マッサージも気に入ってもらえたようでとても嬉しいです。あまりに美人なので何を話していいかわからなかったのですが、香油の話で盛り上がりました。セシル様はとても気さくで優しい方ですね」
……姉が気さくで優しい?
その発言に疑問を抱いたが、あえて突っ込まなかった。
「姉にかなり気に入られたんだな」
「多分マッサージのお陰です」
フフッと楽しそうに笑ってクルミは机に並べてあった瓶をいくつか選んで、手のひらに香油を垂らした。
すると、朝と同じようにいい香りが漂って、心が安らぐ。
「アレンはお昼も取らずに政務をしてましたよね?国王陛下がいるのにどうしてそんなにお忙しいのですか?」
俺の肩をマッサージしながらクルミが質問する。
「父上は二年前に病で倒れて、実質俺が政務を執り行っている。たまに意見をうかがうこともあるが、父上は隠居しているようなものだな」
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