ただ愛されたいだけなのに
わたしは通帳を取りだして、哀れな数字を見つめた。毎月二十五日に給料が入り、そこから徐々に数字が低くなって、最後は数千円、悪い月は何百円になっている。この金額じゃ、オンボロアパートでもギリギリだ。
考えたらわたしは、贅沢な暮らしはしてない。たしかに先月は、一度に何万円も買い物をしたけれど、化粧品はどれも千円未満、化粧水や美容液は、少量を何ヶ月も使ってる――肌にはよろしくないだろうけれど――服だって、近頃はめっきりご無沙汰だ。食べ物はどうだろう? 他のものに比べて、すこしばかり贅沢してるかも? けれど他の女の子に比べれば、すごく辛抱している。これだけ我慢を積み重ねなければわたしは生きていけないんだ——そう考えると、また胸が苦しくなってきた。
本当は、欲しいものがたくさんある。
新しい服が欲しい、新しい靴もバッグも、タイツだって欲しい。化粧品も、肌に良いものを選びたい。食べ物だって、健康的なものを毎日摂りたいし、スイーツだって食べたい。
今より綺麗な家に、欲求を満たす生活をするには、正社員になってフルタイムで働く他ない。正紀とこの先ずっと一緒にいられる可能性も低い。今の関係を何年も続けるなんて嫌。それに、そういう仕事についたときには、それこそ正紀とはおさらばな気がしてならない。だって、お互いに忙しく働くんだもん。連絡が厳かになるでしょう。