ただ愛されたいだけなのに


「はっ⁉︎」
 どっちの意味で『いいよ』なの?
「あ、ごめんごめん。会ってもいいよってこと」
 正紀はわたしの気持ちを察したのか、あわてて応えた。
「この前みたいなことにはならないようにするから」

 えー。なんだか怪しい。「ほんとに?」

「ほんとに」
「なんか嘘くさい。わたしの機嫌を損ねないために——」
「ちがうちがう。俺も会いたいし」
 正紀がおかしそうに笑った。
 わたしはベッドに飛び乗り、高く高くジャンプした。あまりの嬉しさに悲鳴をあげそう。
「約束ね! いつにする?」
「いつ? ……もう日にちまで決めるのか?」
 わたしはジャンプをやめた。
「もうって、わたしは先延ばしにしたくないの。曖昧にばかりして、けっきょく会わないって——」
「ごめん、ちがうよ。ただ急だったからおどろいただけだよ」
 電話の向こうで息を飲む音がした。
 それからすごく小さな声が聞こえてきた。
「すまん、親父がきた。後でかける」
 ブツッ——。

 電話が切れた。
 ハッ、何よ今の。すごくいいタイミング。もういい。正紀とは一生関わらない。なんてヤツなの。こんな逃げ方って、あり?


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