ただ愛されたいだけなのに


 就職についての話を説教まじりにこっぴどく聞かされた後、わたしはすぐに家へ帰った。
 みじめっぽく、ベッドに突っ伏して、好きなだけ涙を流した。就職なんてしたくない。あんなデブの言ってることは無視して、バイトで生きていこうって思っても、見つかりもしないという現実。

 わたしは無職。これじゃあ正紀に会うのは不可能。ほんの二パーセントくらいなら可能性はある。それはわたしが選り好みしないで仕事を探せばの話。

 正紀とのメッセージのやりとりで、不安を出さないように話すのはなんとも息苦しい。不安や不満をぶちまけて、正紀に慰めてもらいたいのが本音。でもわたしが不安でいたら、正紀はまた『会いたくない』の選択肢に行き着く可能性がある。

 そして翌日、わたしはまたもや奈落の底へ落ちた。落ちこんでばかりいる自分には、自分でもいい加減うんざりだ。

「今だけを考えるようにしよう、夢。その……ほら、夢は今不安定だろ? 先のことまで考えないで今を考えよう」
 正紀なりの精一杯のアドバイスを聞きながら、わたしはセロリをボリボリかじっていた。


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