この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
(前編)それは突然に――

それは突然だった?

 それは突然だった。

 積み木で遊んでいたアーベルくんを、イーナさんとゼルマさん、ヴァーレリーちゃんと共に眺める。
 一人の世界に入って、一生懸命積み木を積み上げているアーベルくん。正直真剣な顔もめちゃくちゃ可愛いです……。

 実はこの積み木、国王様からの一歳のお誕生日のプレゼントらしい。イーナさんが教えてくれた。

 彼女の説明によると最高級の木材を使用し、塗料も幼児が口に入れても良くて、尚且つ発色の良い最高級のものを使った最高級の知育玩具……らしい。

 なんか最高級が沢山ついていた。流石国王様が孫の王子様の誕生日プレゼントの為に買った玩具……、幾らするのかちょっと考えたくない。

 何故イーナさんがそんなに詳しいかと言うと、元々商家の出身なんだと。生まれ育った場所が場所なので、物を見る目がかなり養われていると本人は言っていた。

 金持ちになって贅沢したいからって、国王の側室になって、下賜で子爵家嫁いで、子爵夫人になったらしい。

 優しそうなお姉さんだと思っていたけど、かなり強かだった……。
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