この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「どこでそれを……?」


 ローデリヒさんの海色の瞳が動揺で僅かに揺れる。
 彼の反応的に本当にパーティーは行われるみたいだ。


「教えてください。何のパーティーなんですか?」


 ずいっとローデリヒさんに向かって距離を詰めた。彼は渋い顔をする。
 教えたくない、といった感情が丸見えだった。


「……アルヴォネンの王太子夫妻の歓迎パーティーだ。新婚旅行らしいし、盛大に祝わなければな」

「新婚、旅行……?」


 新婚旅行で他国の王城来るんだ……。
 スケール大きいけど、つまり他人の家に来るって事じゃない?王族事情分かんないな……。

 思いっきり疑問が顔に出ていたらしい。ローデリヒさんは渋い顔を維持したまま、深々と疲れたように溜め息をついた。


「メインは海辺の観光地だと言っていた。だが本来の目的は、新婚旅行と称して、貴女に会いに来たのだろう。……立ち寄ったとしか話してなかったが」


 ……どうしよ。あのローブの少女の目的とは合致してる。

 となると、みんなアリサの味方なのに何故こんなにもややこしくなって、ぶつかり合っているのか。

 取り敢えず、ローデリヒさんの事だ。
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