この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】

雨の日の結末?

 少年は軍馬からヒラリと降り、私に駆け寄る。
 至近距離で見た彼は、私と同い年くらいに見えた。自身が身につけていた外套を脱ぎ、私に被せてくる。

 雨の下に現れた髪は金髪。海の色をした瞳には、心配そうな色が滲んでいる。


「どこかの町娘、……ではなさそうだな。どこの商家の娘だ?まさか……、貴族か?!」


 息を飲んだような気配が伝わってくる。見上げた彼の眉間には、深い皺が刻まれていた。
 包み込むように両手を握られる。先程の男の手が蘇って、反射的に振り払いそうになった。


「大丈夫だ。私が貴女は無事だと保証する。……何があったんだ?」


 ボタボタと少年の金髪から水が滴り落ちる。繋いだ手は小刻みに揺れていて、その時初めて自分が震えている事に気付いた。

 この少年が誰か――、なんて問い掛けることは出来なかった。言葉が喉に張り付いたように出てこない。
 でも多分味方。私を助けてくれた人だから。侍女達も助けてくれるはず。
< 240 / 654 >

この作品をシェア

pagetop