この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「……あ、間違った」

「……………………え?」


 私と視線を合わせたまま、びっくりしたように呟いた彼。私も呆然としたまま聞き返した瞬間、凄まじい勢いで寝室の扉が開いた。


「おい?!すごい音がしたが、何があっ――」


 私といきなり現れた少年が扉の方を向くと、息を切らせたローデリヒ様が固まった。手に持っていたらしいお盆を滑り落とす。お盆に乗っていた茶器が、派手な音をたてて割れる。

 唖然とした表情のまんまフリーズしたローデリヒ様の背後から、国王様がひょっこりと顔を覗かせた。


「なんじゃなんじゃ?!浮気かの?!修羅場かの?!」


 そう、とても楽しそうに――。
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