この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「でもわたくし達は陛下をお支えしなければいけないわ。陛下は日々(まつりごと)で忙しくしていらっしゃるもの。わたくし達は陛下を癒し、そして、優秀なキルシュライト王家の血を残すために存在しているのよ。きっと陛下はわたくし達の元へ戻ってきてくださるわ」

「ええ。ハイデマリー様の言う通りですわ。ローデリヒ王太子殿下がいらっしゃるとはいえ、キルシュライト王家の素晴らしい血筋は沢山残して欲しいですわ」

「光属性の一族ですもの。それに陛下のように素晴らしい才能をお持ちの方もいらっしゃるわ」

「建国の英雄の末裔の方々に尽くせるわたくし達は幸せね」


 つまらないなとは思いつつ、頭の中に入ってくる考えにも集中する。どうやら血筋の事は本気で思っているらしかった。

 キルシュライト王家は光属性の一族。王家の先祖が光の英雄と呼ばれている、光属性の偉大な魔法使いだったらしい。その光の英雄が国民を率いて、腐敗した前王朝を倒して新たにキルシュライト王家を作ったんだと。

 アルヴォネン王国の王家には、キルシュライト王家のような伝承はない。だから、キルシュライト王家に嫁いできた時、王家の求心力が高いな――と思ったのである。

 アルヴォネン王家に反抗的な貴族は多くいた。だが、キルシュライト王家は国王に対しての反抗はほぼなく――、どちらかというと、国王周辺への目が厳しい気がする。

 国王様の能力は一般的に広く知れ渡っている。というか、非常にシンプル。
 光属性魔法と剣術と身体能力強化。
 王家以外では珍しい光属性魔法はともかく、剣術と身体能力強化は結構普通の能力。
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