この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】

八方塞がり

 実は国王様に今まで王妃様がいた事はなくて、ローデリヒ様のお母さんは側室のまんま。
 ローデリヒ様が小さい頃に亡くなってしまったから、私は会ったことはないんだけど、肖像画を見る限り、可愛らしい人だった。二十代半ば……イーナさん位の若さで亡くなってしまったらしいんだよね。美人薄命ってやつかなあ。

 本来なら、跡継ぎを産んだ人は正妻になるはずなんだけど……。私はその辺の経緯が全く知らない。
 ついこの間までローデリヒ様にあんまり興味を持ってなかったから、深く知ろうとも思わなかった。……今になって、すごく気になってくる。

 聞くタイミングなんて、幾らでもあったのに……!

 取り敢えず、国王様にはローデリヒ様しか子供はいないから、ローデリヒ様が跡継ぎなんだよね。
 さて、ローデリヒ様が王太子になるのは反対だとすると、誰がいいのか……。


「王家の血に下賎な者の血が入ってはいけませんわ」

「光属性魔法といえば、エーレンフリート近衛騎士団長が王太子殿下と光属性魔法に肩を並べるのでしょう?かの方はヴォイルシュ公爵家のご出身ですし……」

「でもヴォイルシュ公爵家はもう王家の血が薄くなってるわ」

「そうよねえ……。やはり私達が正当なキルシュライト王家を繋がなければ」
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