この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「まあ、妊婦だから手ぇ出せないのかぁ。それは欲求不満になるよなあ」

「いえ、普段から手出せてないようですよ」

「まっじ?!えぇ、奥さんあんなにカワイイのにぃ……。でも二人目ってことはソレナリっぶ!」


 エーレンフリートの口を手で塞いだローデリヒは、冷ややかな目で「下世話だ」と無理矢理話題を打ち切る。軽く謝りながら手を退かしたエーレンフリートは、ニヤニヤと笑った。


「妊娠中の夫婦仲って大事らしいから、気を付けろよ〜?」

「どこの情報だ?」

「オレと不倫中の子持ち貴族夫人」

「お前は何をやっているんだ……。さっさと行くぞ」


 国王よりもはやく会場に入った三人に、参加者の目が集まる。キルシュライト王国王太子は勿論、キルシュライト王族の親戚にあたるヴォイルシュ公爵の末子で近衛騎士団長のエーレンフリート、王太子付きの近衛騎士であるイーヴォ。

 将来、あるいは現在から既にキルシュライト王国を担う要人達である。注目されないわけがなかった。


「さっすが、ローデリヒ。注目度がすごいねぇ〜。人気者じゃん?」

「遠巻きにされているだけだ。どちらかというとエーレンフリート、お前の方が人気だろう?」
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