ど天然彼氏の可愛がり方。-六花の恋・外伝-【完】
「お母様、心配してたわ。美結ちゃんが飛び出していなくなっちゃったって。何があったかは訊かないけれど、どう? もう、おうちに帰れそう? まだだったら泊まって行っても大丈夫よ? 客間にお客様用の準備もあるから。
あ、客間に想と里宇は近づけさせないから安心してね? 年頃の娘さんをお預かりするのに野郎は近づいちゃダメだからね。想、いくら彼氏でもお母さん、そこは譲らないわよ」
キッと僕を睨んでくる母さん。
男兄弟の母である母さんは、うちの中で頂点に立つ人だった。
僕も里宇も父さんも逆らえない。
「いえ。大丈夫です。このまま帰ります」
「そっか……。想、あんたやるじゃない」
「美結のことなら、当然」
「可愛くないのに可愛いわね。美結ちゃん、うちは美結ちゃんのこと大歓迎だから、いつでもいらっしゃい」
母さんの笑顔に見送られて、僕は美結と、美結の家へ向かった。
雨はもう、姿を消していた。