ど天然彼氏の可愛がり方。-六花の恋・外伝-【完】
ノックとともに、母さんがドアを開けた。
僕はさすがに腕を離した。
そして雪ん子状態の美結を見るなり。
「美結ちゃん、可愛いわっ!」
グッと親指を立てた。
「あ、ごめんなさいっ、私……っ」
「ああ、全然いいわよ。乾燥機のお洋服乾いたから持ってきちゃったんだけど、お紅茶も冷めちゃったでしょ? よかったらリビングにいらっしゃい。新しいの淹れなおすから」
毛布から出た美結は、母さんから服一式を受け取った。
「美結、行ける?」
「うん、大丈夫」
一階に降りた美結は、また脱衣所で着替えて、ダイニングにやってきた。
「美結ちゃん、勝手だけど、お母様に電話したわ。美結ちゃん、今うちにいるからって」
ダイニングテーブルの僕の隣に座った美結に、向かいの席の母さんが言った。
「はい……ご迷惑おかしました……」
「いいのよ。家族の中だからこそ、色々あるものだし。うちもね」
最後はため息まじりに言った母さん。
……里宇のことだろうな。