希空~空姫に希望を。~
「七瀬」
オレが名前を呼ぶと、少し眉を寄せた七瀬がオレの意図を読み取って口を開いた。
「シイナ。
諷賀と守唄を無視する理由はなんだ」
「……」
「下の奴らに対して無視するのはまだいい。
でも2人は総長と幹部なんだ。
シイナを率先して守ろうとする奴を拒絶していたら
上手く回るものも回らなくなる」
「僕達を完全に信用する必要はないから。
返事だけでもしてほしいんだ」
諷賀が優しくシイナに向かって言う。
シンとした空気…にはならず、部屋の外から漏れる他の部屋の歌声がうるさく響く沈黙の時が流れる。
「……返事、だけね」
長いまつ毛を伏せたままシイナは答えてくれた。
「ありがとな!!」
「…何でキョウが最初にお礼言っちゃうんだよ。
僕達の言うタイミングがなくなっちゃったよ」
「すまん」
カラオケに来た目的が果たせたことが嬉しくて、つい即座にお礼を叫んじまった。
諷賀、マジですまん。
守唄は…、にこにこしてるしいっか。
「んじゃみんな仲良く?なったところでー!
シイナ、歌う?」
もうそろそろ歌いたくなったろ!
そう思ってマイクを差し出すけど、やっぱりシイナは受け取らなかった。
ちぇ。
シイナの歌、聞いてみたかったのに。