希空~空姫に希望を。~
「歌は………」
「歌は?」
シイナが話し始めたのに言い切る前に止まった。
それの続きをオレが促しても、動くのは目線だけで口はぴくりともしない。
「……歌は、嫌」
だいぶ間が空いてからそう口にしたシイナ。
歌が嫌って…
「ここ嫌だった!?ごめん!!」
歌う空間であるカラオケとか、最悪のセレクトじゃね!?
シイナの為にと思って連れてきたのに…。
本人が嫌なことをピンポイントで突いちまうなんて…。
「違う。歌うことが、嫌。聞くのは平気」
珍しくシイナが早口でフォローを入れてきた。
そんなにオレ、顔に出てるんだな…。
気を遣わせちまったとか、マジでだっせぇ。
「知らなかったとはいえマジですまんかった」
「…大丈夫。
連れてきてくれて、ありがと」
シイナはほんの少しだけ、口角を上げてくれた。
その微笑みを見て何故だかオレは泣きそうな気持ちになった。
でもオレは希空副総長で、男だ。
こんな簡単に泣いてたまるか。
無理矢理笑顔を作ってシイナにお礼を言ったのだった。